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まわるよ歯車

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なぜハピネスチャージプリキュアのラスボスの動機が八つ当たりなのか

最近、バンダイチャンネルでプリキュア映画の見放題配信を始めたので、

久々にハピチャ映画見たら熱が再燃したので
ちょっと書き上げたいと思いました。(小学生並みの感想)



そもそもハピネスチャージプリキュアという作品とは

大々的には『幸せ』、副次的に『恋愛』がテーマと言われているが、
個人的に思うに、
やはり『愛乃めぐみという女の子が<キュアラブリー>という殻を得て
真のヒーローになるお話』だと考えている。

元々ハピチャの世界観的に“プリキュア”というのは一話開始時点で既に多数存在しており、
そんな中主人公である愛乃めぐみはそのプリキュアの一次審査に落ちた状態から物語は始まっている。
つまり、元々めぐみはプリキュアとなる資格を持ち合わせてなかったのである。(資質自体はあったが)
そもそもめぐみがプリキュアになった経緯からして「ひめが適当に投げた石(愛の結晶)に当たったから」という完全なる運任せであり、
ことさら“選ばれた人間”ではないということが強調される。

少し余談になるが、ハピチャの主要プリキュア四人中三人がイレギュラーな、
プリキュアへの経緯を辿っており、
めぐみは前述の通り一次審査落ち、
ひめは封印を解いてしまった責任から、
いおなに至っては復讐と、
相当異質。
ゆうゆうこと大森ゆうこは一見まともな理由そうで、
「人助けをするとご飯が美味しい」ではなく、
「ご飯が美味しくなるから人助けをする」みたいな面も垣間見てしまうので、
やはり4人とも初期の頃は、
おおよその人達が持つ『プリキュア』という概念から遠い人物造形をしていると感じる。
そんな4人が出会いを経て『プリキュア』らしくなっていくのだが、それはまた別のお話。

閑話休題。

さて、めぐみという女の子。
彼女がどんな子かというと、物語序盤では確かに今までのプリキュア主人公“のような”印象を受ける。
だれかれ構わず人助けに明け暮れる女の子。
が、話が進むにつれて自己犠牲の面が強すぎる……というかそもそも自分というものを蔑ろにし気味なのである。
これは後に「お母さんに褒められるのが嬉しくて、それから人助けをするようになった」
と本人が語っているように、彼女の人助けの本質は『承認欲求の発露』に過ぎなかったわけである。
とどのつまり、人のためと言いつつもその実体は自分のために人助けをしていた訳である。
ゆえに相手の事など二の次三の次、
他者に評価を依存してるので自分のことなど四の次と言った所か。
これでは一次審査落ちもやむなしと言った所。
だが、単なる偽善者(誤用)かというとそうではなく、根底にある善性は本物であり、
偶然手に入ったとはいえ、愛の結晶を芽吹かせた力は本物である。
そうして愛乃めぐみは『キュアラブリー』というヒーローの殻を手に入れたのだ。
これに気付くともう一つのテーマである『ファッション』も言い得て妙で、
まさに愛乃めぐみはキュアラブリーに着替える、つまり“変身”している。と言ってもいい。
先の話と被るが、ひめもいおなも『プリキュア』という衣装を
着てるに過ぎなかったというのも中々な話である。
ゆうゆうは……分からん。

その“キュアラブリーというヒーロー”の力を得ためぐみは、ひめをいおなを助けていくのだが、
中盤にさしかかるに当たって自身の問題と向き合うことになる。

愛乃めぐみの人助け

さて、前述の通りめぐみの人助けは本質的には
単なる承認欲求の発露でしかなかったわけですが、
中盤に置いて転機が訪れます。
そうブルーへの恋心ですね。
ちまたでは散々な言われようをしている神様ですが、
めぐみに「真に人助けするには、その人をちゃんと理解しなければならない」という
入り口を開かせたことにはちゃんと評価してあげたい。
まぁ、本人のあずかり知らぬ所なので株は上がりよう無いんですけど。

ともかく、『恋愛』を切っ掛けにして根本的な所で他人に無関心だっためぐみにも他者を理解したいという欲求が生まれます。
と、同時に自らの行為を省みて「自分はちゃんと役に立てたのか」「単なる自己満足でしかなかったのではないか」と苦悩するんですが、
「そんなことはない」とキュアラブリー、ひいてはめぐみに助けてもらったひめやいおなが居るわけですね。
特にアンラブリー戦でプリンセス、フォーチュン、ハニーが駆けつけてくるの、この文脈を理解してると泣く。めっちゃ泣いた。
さておき、この苦悩からめぐみの「本当に”人を助ける”とは」という疑問に立ち向かっていくわけですね。
その到達点の一つが「ブルーとミラージュの和解」であり、
始めて『人を助ける』事が出来たと言えるようになったんじゃないでしょうか。

ちなみに、この和解はあくまでキュアラブリー(めぐみ)が導線を引いただけで、
直接人を救ったとは言えず、真にキュアラブリーが誰かを救うことになるのは、冒頭で紹介した映画が正にそれなので、みんな見てくれ。
今ならバンダイチャンネルの有料会員になれば無料で見られるぞ!

人を助けた先に待つもの

そうして本当に人を助けることの出来ためぐみに残ったもの。
そんなものはなかった。なかったんだよ。
確かにブルーとミラージュは幸せになった。
めぐみもそんな二人を見て満足した。それは真実。
でもめぐみは幸せになれなかった。それも事実。

お前が世界を救っても、世界はお前を救わない。

そんな現実がめぐみの小さな胸を締め付ける。
承認欲求の塊だった幼いめぐみはもう居ないが、
それでもスーパーヒーローであるキュアラブリーではない
普通の女の子であるめぐみの心はプリキュアとしての自分との乖離により悲鳴を上げ、
そんな心に真の黒幕であるレッドがつけ込んでくる訳ですね。

でも誠司の声で気付くんですよ、
これまでの戦いでめぐみに何もなかった訳ではなく、
確かに得たもの、プリキュアの仲間、かけがえのない友人達が。
そして誰かに認めて欲しいという弱い自分という核=愛乃めぐみを受け入れて
キュアラブリーという殻は弱い心に負けない真のヒーローへとなるんですよ……!

この胸に愛(めぐみ)がある限り、このキュアラブリーは無敵なんだから!

ほぼ一年掛けてこの結果を見せてくるからハピチャは名作なんだよなぁ……。
そして一話にこれらを詰め込んでくるから、皆44話まで見て。見ろ。

なぜ誠司と戦うことになったのか

そして真のヒーローとなったキュアラブリーが立ち向かうのは、
闇堕ちしてしまった誠司。
これ恋愛文脈で見ると割と不可解なんですけど、(ただラブリー以外の三人はそう見てる)
そうではなくて、
これはつまり『レッドに抗えず闇堕ちしたキュアラブリー』の暗喩なんですね。
実際、誠司にはこの戦いを通じて得たものは
プリキュアに助けてもらうしかないという無力感で、
以前キュアラブリーが唆されそうになったシーンと被り、
多分キュアラブリーことめぐみは同じく諭されそうになったのでこれに気付いてます。
(だからラブリーだけ他三人と明らかに違うノリで戦っているし、
誠司が闇落ちした理由も明言されていない)
つまりキュアラブリーが戦っていたのは闇落ちした誠司ではなく、
弱い心に負けた鏡写しの自分自身であり、
そういった存在と向き合い戦うことにより、
『弱い心』が誰にでもあることを知る必要と、
そしてそんな誠司を通じて今までの自分は決して無力ではなかった、
してきたことは無駄ではなかったと遠回しながらも、
確固たる自己肯定を、愛を自らに返す必要があったんですね。

なぜハピネスチャージプリキュアのラスボスの動機が八つ当たりなのか

やっと本題ですね。
なんかめっちゃ長くなってる気がしますが、
しかたねーだろ愛乃めぐみとキュアラブリー大好きなんだからよー。
だから早くSHフィギュアーツでキュアラブリー以下ハピチャ組販売して、やくめでしょ!

さて、そうして最後に待ち受けるのはもう一つの星の神であるレッド。
彼がなぜ邪知を巡らせ青の星を混乱に陥れたのか。
その理由はなんと「自分の星が滅んだ腹いせ」という完全なる八つ当たり。

色んな意味で酷い理由だが、あくまでも彼単体で見た場合の話で、
『愛乃めぐみの物語』として見た場合、これが見事に納得するしかない理由になるんです。

何故かというと、
『八つ当たり』というのは言い換えれば『誰彼構わず迷惑を掛ける』という行為であり、
これと似たようなこと、してた人が居ますね?
そう物語序盤の愛乃めぐみがまさにその人なんです。
“理由なく”という行為の結果の善悪が違うだけで
本質的には同質の行為であり、
更に言い換えればレッドは(星ごと滅んでるという極端な事態だが)
認めてくれる人の居ない(居なくなった)愛乃めぐみであると言える訳です。

“愛して”も“愛してくれなくなった”となったら、
愛乃めぐみの物語という観点からしてそりゃラスボスになるわな。

そんな訳で最後の最後に、
ヒーローでも何でも無い頃の、間違えた末の”自分”と戦うことになるんですね。
レッドを通して過去の過ちと向き合うという形で。






振り返ればハピネスチャージプリキュアという物語は
キュアラブリーが愛乃めぐみを救うための物語だった。




レッドという鏡写しの自分に対しキュアラブリーはどう対したかというと、
許すんですよ。
間違えてたとしても、その根底にあったのは間違いなく愛だったと。
認めてくれるんですよ。
例え愛に裏切られ、無力と嘆き、憎しみに変わったとしても確かにそこに愛はあったと。


そうしてキュアラブリーは、愛乃めぐみはようやく過去を含め“自分”を救えたんですね。
俺は泣く。


これが「キュアラブリーとレッドとの対話」なら
まー、確かに軽く薄っぺらに感じてしまうかもしれない。出会って数話だし。
だが「キュアラブリーと愛乃めぐみの対話」だとこの上なく重く分厚い。
だって、ひめを助けたいと思い、ブルーに恋し、自らの行為に悩み、
ミラージュの幸せを考え、救った結果に苦しみ、闇(憎しみ)と向き合った、
ハピネスチャージプリキュアという愛乃めぐみの一年丸ごとその物が答えなのだから。


さらに、それを通じて過去と現在と未来、そして皆が愛で一つに繋がっていた事を知り、
キュアラブリーはフォーエバーラブリーへと変わるんるん。
俺は泣く。


まとめ

だから“愛乃めぐみ”という存在を救うために、
ラスボスの動機が八つ当たりである必要が、あったんですね。

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